Lesson10-1 消化と吸収 基本

消化

消化』とは食事などで摂取した食べ物を、腸で栄養素として吸収できるくらいの大きさ、低分子化合物になるまで分解することです。

さらにこの消化は下記のように大きく3つに分類されます。

消化

  • 機械的消化(物理的消化):固形の食べ物をかみ砕く、咀嚼して小さくする方法。これは口の中で唾液を絡ませることや、次の消化場所へ運搬する機能も含まれます。
  • 化学的消化:唾液や胃液などの消化酵素によって食物成分を加水分解させて行く消化方法。
  • 生物学的消化:食物繊維などのように消化しにくい物、消化できなかった物を腸内細菌によって発酵・腐敗させる方法。

吸収

吸収』とは低分子化合物へと変わった栄養素を腸内で吸収して、血管やリンパ管を利用して様々な部位へと送る機能です。これは分解を必要とせずに上皮細胞を通過できる塩類ビタミン類なども同じく吸収されます。

また吸収方法は管腔と吸収上皮細胞の濃度勾配に従って吸収される受動輸送と、濃度勾配に逆らって吸収する能動的輸送があります。そしてどちらにも属さず、消化と吸収を同時に行う膜消化という物もあります。

消化管

消化管口(口腔)のど(咽頭:いんとう)食道小腸大腸と各器官が繋がっていて、1つの総称とも言えます。消化管の構造は内側から粘膜層粘膜下層筋層外膜と重なっており、外膜が腹腔に露出している部分を漿膜(しょうまく)と呼びます。

これらは動物にとって重要なエネルギー吸収の部位なので、内在神経系と外来神経系の両方の支配を受けています。

消化液

消化管には腺細胞(せんさいぼう)という物があり、そこから消化液が分泌されます。また、消化液に関しては消化管以外の膵臓肝臓からも分泌されます。

大きく分別すると唾液胃液膵液腸液胆汁などに分かれます。なお、腸液と胆汁を除く消化液には消化酵素が含まれています。ですが胆汁も脂質の消化吸収を助ける作用を持っているので、消化液に分類されます。

消化酵素というのは生体が合成する有機触媒であり、どの酵素も加水分解酵素に属します。ですが使われる場所や用途はそれぞれで、基質、水素イオン濃度、温度に影響を受けます。

また、消化液はただ食べ物を消化するだけでなく、消化管粘膜を保護する役割も担っています。

消化管の運動

口では咀嚼をして細かく砕き、食道から大腸までは消化を行いながら運搬、小腸からはそれに吸収も含まれます。

これらの動きをまとめる事によって内容物を消化液と混合、磨砕して吸収、排出という一連の流れが完成します。これは健康である限り問題なく行われる体の運動です。