葉酸(ようさん)
葉酸はビタミンB₁₂(本ページ下部)と共に、新しい赤血球を作り出します。この働きから葉酸は『造血のビタミン』と呼ばれています。
葉酸はたんぱく質や細胞新生に必要な核酸、DNAやRNAを合成する為に重要な役割を持っています。特に新しい細胞を作り続けて発育していく胎児にとっては、最も重要なビタミンとも呼ばれています。
この発見から妊婦の方に葉酸を十分に摂取してもらう事で、神経管閉鎖障害という胎児の先天異常を予防できることが実証されました。そのためアメリカやイギリスでは、妊婦を予定している女性の方には1日につき0.4mg、妊婦にはその倍の量の葉酸を摂取するよう勧告されています。
このビタミンが多く含まれている食材は菜の花やほうれん草、枝豆などが挙げられます。
過剰摂取
水溶性ビタミンで過剰症が見られたという報告はありませんので、普通通りに食事を取っている限り問題はありません。ですが大量に摂ると、亜鉛の吸収を阻害されるという事例もあります。
不足
普通に食事をしている限り、不足する事態もまれですが下痢や薬剤の長期服用などで欠乏する場合があります。
欠乏症が起こると新陳代謝が盛んな口腔での炎症や、肌荒れ、疲労感などが見られます。さらに造血作用がうまく働かなくなって巨赤芽球性貧血(悪性貧血)という症状が現れる可能性もあります。
また、葉酸不足によってホモシステイン(アミノ酸の一種)の血中濃度が高くなり、その状態が続くと動脈硬化になるとも発覚してきました。
ビタミンB₁₂
ビタミンB₁₂はコバルトを含んでおり、『赤いビタミン』とも呼ばれています。
他のビタミンより必要量はごく僅かでありますが、補酵素として様々な反応に関与しています。その働きはたんぱく質や核酸の合成、中枢神経機能の維持、脂肪の代謝など、多くの活動に関わっています。
それと本ページの上記で説明した葉酸と協力し、骨髄で巨赤芽球(きょせきがきゅう)から正常な赤血球を作り出す働きも行ってきます。
まだ実証されているわけではありませんが、認知症患者の方は脳内のビタミンB₁₂濃度が低い・少ないことから、逆説的にビタミンB₁₂を多く摂ると脳が正常に働く機能があるのではないかと考えられています。
レバーをはじめ、牡蠣やサンマ、アサリなどに多く含まれています。
不足
ビタミンB₁₂が不足すると葉酸の時と同様、悪性貧血が起こります。さらに悪化すると下肢のしびれや運動失調、神経障害なども見られます。
といっても、ビタミンB₁₂は腸内細菌によっても合成されるので、極端な偏食を行っていない限り欠乏症が見られる事はほとんどありません。
ですがビタミンB₁₂が小腸で吸収される際、胃壁から分泌される糖たんぱく質の内因子という物質の助けが必要なので、胃を全摘手術した人や胃粘膜に病変がある人は内因子が不足して欠乏症になる可能性があります。
また、ビタミンB₁₂は微生物によって合成されるので植物性食品にはほとんど含まれておらず、動物性食品の一切を断っているベジタリアンの方にも欠乏症が見られます。