それぞれのマナー
コース料理にそれぞれの役目があるように、マナーもそれぞれの料理に合わせて存在します。それらを一つずつ紹介していきます。
前菜・サラダ
前菜やサラダは同じように扱われることが多く、マナーもほとんど同じなので一緒に紹介させていただきます。基本的にはオードブル用のナイフとフォークで食べますが、メニューによっては野菜やトウモロコシで作ったババロアなどが出てくる場合もあるので、スプーンを使用する例もあります。
どちらも軽い物なので大きい料理は出にくいですが、もし野菜の葉物や付け合わせの魚の切り身が一口で入りきれない、という時はナイフで食べやすい大きさに切って口に運びます。
ギリギリ入りそう、という物でも不安を感じたのなら切り分けましょう。口いっぱいにほおばって食べるのは少々見苦しいので、少しずつ食べるようにしてください。
スープ
スープ用のスプーンで食べますが、すくい方は手前から奥に向かう方法、奥から手前に向かう方法、どちらも間違いではありませんがどちらかというと前者の方がポピュラーです。
それとスープの時に最も気を付けなけらばならないのが音です。洋食、特にフランス料理では音のマナーが厳しく、共に食事をする人と過ごす時間も貴重な食事のひとつだと考えられています。
なので不用意にスプーンを皿に当ててカチャカチャとやかましく流したり、スープを飲む時にズズズッと音を立ててはなりません。なのでスープを飲む時はスプーンの先を口に入れ、噛むように食べます。それでも難しい人は「飲む」というより「流し入れる」という感覚で試してみましょう。
スープ用の平皿で出された時は必ずスプーンを使用しますが、取っ手付のスープカップの場合はスプーンでも直接飲む方法でもどちらでも大丈夫です。
最近では普通になったパイ包みの料理もスープ料理として出されます。これは蓋となっているパイ生地をスプーンで中に割り入れ、スープと一緒に食べましょう。
メイン(魚・肉)
メインディッシュの料理はどれも大きく、一口で食べることは出来ません。そのままかぶりつくのはみっともないマナー違反です。なので魚でも肉でも、左端から一つずつ、ナイフとフォークで一口大に切って口に運んでいきます。
熱を冷まそうと先に全部切って、後でフォークのみを使用して食べる方がたまにいらっしゃいますが、これだと見た目が損なわれてしまって料理が台無しになってしまいます。少し面倒に感じるかもしれませんが、一つずつ切り分けて味わいながら食べるようにしてください。
たまに骨付きの状態で出てくることがありますが、手を使わず、ナイフとフォークで丁寧に取り除きましょう。
肉の場合は焼き加減として「ウェルダン(中まで完全に火を通す)」「ミディアム(半生、中間)」「レア(中は赤く、ほとんど生の状態)」のどれかを聞かれる場合があるので、自分の好きな焼き加減を頼んでください。
デザート
デザートもオードブルと同様、料理によってナイフとフォーク、スプーンの3種類を使い分けますが、どれも基本的には他のコース料理のマナーと同じです。
ですが中にはミルフィーユのようにそのままナイフを入れると崩れてしまう種類の物もあるので、そういう料理の場合は横に倒して食べても構いません。
メロンのように皮と果肉がくっついた状態で出てくるフルーツは先にナイフで丁寧に皮と果肉を切り分け、その後にナイフとフォークで食べます。ブドウのように手で食べることができる果物は手で食べて構いませんが、食べ終わったらフィンガーボールという指を洗うために水が入った器で指先を洗い、ナプキンで軽くふき取りましょう。
パン
パンは一口分ずつちぎって食べますが、食べない方のパンはパン皿に置いておきます。もしパン皿がない場合は左側のテーブルクロスに直接置いても構いません。お皿に置きたくて他の料理の横や位置皿に置くのは返ってマナー違反になるので、そういう時は給仕の人に皿を持って来てくれるよう頼みましょう。
ドリンク・お茶
食後に出てくるお茶のサービスはコーヒーや紅茶などの種類がありますが、砂糖やミルクなどを入れて混ぜる際のスプーンの置き方についてマナーがあります。
使用前は手前に置いてあるスプーンですが、使用後は静かに雫を切ってカップの向こう側、受け皿の奥に置いてください。