脂質は1グラムにつき9キロカロリーのエネルギーを生み出し、単純計算で糖質の約2倍ものエネルギーを生み出します。ですが人体のエネルギーとして使われる割合は総エネルギーの2~3割なので、実際の摂取量は炭水化物よりも少ない量になります。
ダイエット志向が一般化してきた現代では少々敬遠されがちですが、脂質は人体にとって必要な栄養素なのでその効果についてしっかり学んでいきましょう。
構造
脂質は基本的に水に溶けず、エーテルやクロロホルムなどの有機溶媒に溶けるのが特徴的な性質です。
エネルギーになるだけでなく、細胞膜や核酸、神経組織などの構成成分となる重要な成分です。他にも脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもあります。
なお、脂質には化学構造で見られる特徴から、3種類に分けられます。
単純脂質
単純脂質は種類としては中性脂肪があり、脂肪酸とグリセリンが結合した構造となっております。中性脂肪は一般的に『脂肪』と呼ばれ知れ渡っています。
脂肪は貯蔵脂質として皮下や腹腔などに蓄えられ、必要となった時にエネルギー源として利用されます。
他にも熱伝導性が低くて体温保持に役立ち、弾力性が臓器を守るクッションになります。
複合脂質
複合脂質にはリン脂質と糖脂質の2種類があります。
構造は単純脂質の1部にリン酸や糖質、塩基などの成分が結合したものです。たんぱく質と結合して細胞膜となる重要な成分ですが、複合脂質自体はエネルギーになりません。
誘導脂質
ステロール類という種類があり、動物の体内にある物の多くが聞き馴染みのあるコレステロールです。
過剰摂取の場合
少ない量で多くのエネルギーを持っている脂質ですが、過剰に摂取するとエネルギーを消化しきれず肥満を引き起こしてしまいます。
摂取エネルギーのうち、脂質のエネルギーが3割を超える食生活を送っていると糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの症状が起こり易くなります。
このような生活習慣病をはじめ、それでも食生活を改めなかった場合大腸がんや乳がんなど、体の至る所でがんが発症してしまう事例も出て来ています。
不足している場合
逆に脂質の摂取が不足すると、エネルギー不足になる他、血管や細胞膜を補強することが出来ず、血圧に耐えきれなくなった血管が破裂して脳出血を起こしてしまうリスクが高まります。
注意点
液状の油をマーガリンなどの固形油へと変える時、トランス脂肪酸という成分が生まれます。この脂肪酸を多く摂取すると冠動脈疾患を発症するリスクが高まりますので、固形油を使用する際には十分注意しましょう。