脂質にもそれぞれの種類があり、各々の役割を持っています。これからのページではそれぞれの代表的な物を挙げて説明していきます。
脂肪酸
前のページで説明した脂肪として知られている中性脂肪は脂肪酸という成分で構成されています。炭素の数や結合の仕方で種類が豊富に存在します。
脂肪酸の基本的な形は、水素と炭素が1本の鎖のように繋がってその片端にカルボキシル基が結合している形になります。他にも炭素数が偶数になっていたり、天然の油脂では炭素数が14個以上の物が多いなど様々な法則も見つかっています。
その中でも大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は肉類や乳製品の脂肪に含まれており、構造としては鎖状に繋がれた炭素の全てに水素が結合しているのが特徴です。
飽和脂肪酸を含んでいる脂肪は融点が高いのが特徴で、常温だと固形な物が多いです。
これらは中性脂肪やコレステロールなどの血液中の脂質濃度を上昇させ、過食が進むと脂質異常症や動脈硬化などの症状が発症する可能性もあります。
それと上記で肉や乳製品に多く含まれていると記載しましたが、マーガリンにも多く含まれています。マーガリン自体は植物油が原料なので不飽和脂肪酸が多いはずなのですが、作成時に水素が添加して飽和脂肪酸になり、構造がバターの形状に似ているのです。
他にもパーム油やヤシ油なども飽和脂肪酸が多く含まれている特殊な例の植物油として挙げられます。
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は基本的に植物油や魚介類に多く含まれており、炭素同士が二重結合している部分が存在する構造になります。
さらにその二重結合の個数が1つの物を一価不飽和脂肪酸、2つ以上の物を多価不飽和脂肪酸と呼びます。多価不飽和脂肪酸の場合はどこに二重結合がどこに存在するかによってn-3系やn-6系など、聞き馴染みのない種類にまで分類されます。
脂質だったり不飽和だったりと不安になるような言葉が続いて「もしかしたら健康に良くないのでは?」と考えるかもしれませんが、その逆なのです。むしろ体に良いものばかりです。
一価不飽和脂肪酸は一般的に『善玉』と呼ばれ、総コレステロールを下げて動脈硬化の予防を行ってくれます。この種類で有名な物にオリーブオイルがあります。
多価不飽和脂肪酸の方も体内では合成できず、必要な栄養素に当たる必須脂肪酸が類しています。植物油でよく見られるのはリノール酸、α-リノレン酸、卵や豚レバーに含まれるアラキドン酸、魚介類ではEPA(IPAとも呼ばれる)やDHAなどの種類があります。どれも別々の働きを見せるので、バランスよく摂る必要があります。
主な働きとしては心疾患やアレルギーの予防、細胞膜の構成成分になったり、血液中コレステロールの運搬を促進して脂質異常症の抑制にもなります。