前のページで炭水化物の種類について説明しましたが、多糖類の中にはデンプンなどのようにエネルギーとして消化できる消化性多糖類と、食物繊維のように消化酵素で分解されない難消化性多糖類の2種類に分けられます。
同じ炭水化物でも働き方が違うこの2種類の機能について、学んでいきましょう。
糖質の機能
こちらは炭水化物の主な働きとされるエネルギーとして利用される物です。糖質1グラムにつき4キロカロリーのエネルギーを供給し、体の総エネルギーの約6割を炭水化物が担っています。
中でもブドウ糖やショ糖は吸収が速いので素早く有効なエネルギー源になります。疲れた時のスポーツ飲料や甘味、遭難時のチョコレートなどが分かり易い例でしょう。
また、脳や神経組織にとってブドウ糖は唯一のエネルギー源となるので、毎日の摂取が欠かせない成分なのです。
近年では炭水化物や甘味の摂り過ぎが肥満に繋がる事から、これらの食材を異様に避ける食生活が見られるようになりました。確かに過剰摂取すると肥満になる可能性もありますが、少なすぎても体を壊してしまう原因になってしまいます。
摂取量を調節して食べて行けば何の問題もありませんし、老若男女に好かれる甘味は心を穏やかにして生活に余裕を持たせてくれます。
もし炭水化物の摂取量を気にして穀物類を止め、何となく体に良さそうだからと果物をばかりを食べると、少々危険です。
砂糖や果物に多く含まれる果糖は体内で脂肪に変わり易く、エネルギーへの変換以外にも脂肪酸や中性脂肪の合成に使用されます。そのため、むしろブドウ糖だけを含む穀物類の方が逆に太りにくいと考えられるのです。
食物繊維
このページの前述で述べたように、食物繊維は消化酵素で分解されない難消化性多糖類の1種です。さらに詳しく言うと「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性多成分の総称」と定義されています。
これらは植物の細胞壁だったり、エビやカニの殻など様々な物に含まれています。
以前はエネルギー源にならないことから体には不要な成分だと考えられていましたが、多くの疫学的調査や研究が行われその効果を発見することに成功しました。
一般的に食物繊維は高分子化合物にあたり、特性として保水性、粘性、陽イオン交換能、有機化合物の吸着能、ゲル形成能があります。また、種類によっては水に溶ける物と解けない物も出て来ます。
食品や成分によっては様々な働きをする食物繊維ですが、主に見られる働きを簡略化した物が次の項目になります。
- 咀嚼数を増やすことで唾液の分泌と満腹感を与える。
- 腸の活動を活発化させて排泄を促進させる。
- ビタミンB群の生成を有利にさせる。
- 胆汁の分泌が促進してコレステロールを低下させる。
- 糖や脂肪、コレステロールの過剰吸収を阻止してくれる。
- 消化されないので便の量が増え、腸内圧を下げてくれる。
- 腸内細菌により発酵が行われ、短鎖脂肪酸が生成されて上皮細胞のエネルギーを作り上げる。
このように、食物繊維の働きは多岐にわたり消化器系の疾病だけでなく、心臓病や糖尿病などの予防にも有効なのです。糖質とはまた別の方向から人体の生理作用に欠かせない成分なので、どちらも含む穀物類は毎日の食事に取り入れるようにましょう。
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