前のページで説明したように、炭水化物は大きく分けて糖類、少糖類、多糖類の3種類に分けられます。このページではそれらの種類についてもう少し詳しく学んでいきましょう。
糖類(単糖類)
この種類は1つの糖から出来上がっている物で『単糖』と呼ばれていますが、化学式を見てみると6つの炭素を持っているので『六炭糖』とも呼ばれています。
ブドウ糖(グルコース)
これは穀物や果物によく含まれており、栄養学的には最も重要とされている糖質です。
血糖値という言葉があるように、血液中に血糖として一定濃度(約0.1%)含まれています。これはエネルギー源となる他にも、多くの生理作用に利用されています。
なお、名前の由来はブドウに多く含まれていたことから名付けられました。
果糖(フルクトース)
読んで字のごとく、果実や果汁に多く含まれていることから果糖と呼ばれるようになりました。花の蜜にも果糖が存在し、ハチミツの固形成分の約半分も占めているのです。
ガラクトース
牛乳などの乳汁に多く含まれており、乳糖の構成成分です。これは上記の2つとは違ってほとんどの植物中には存在しないので、区別しやすいでしょう。
例外としてトマトやスイカなどが挙げられます。
糖類(二糖類)
ここからは2つの糖から成り立つものを紹介していきます。
ショ糖(スクロース)
これはブドウ糖と果糖が結合したことで出来た糖類です。砂糖の主成分になり、さとうきびやてんさいによく見られます。
麦芽糖(マルトース)
ブドウ糖同士が2分子結合した事によって出来た糖類になります。麦芽や水あめに含まれている以外にも、デンプンが分解された時にも見られます。
乳糖(ラクトース)
上記で少し説明したように、これはガラクトースとブドウ糖が結合した事によって生まれた糖類で動物の乳汁に含まれています。ちなみに、人間の母乳の場合は5~7%、牛乳の場合は約4%含んでいます。
少糖類
単糖類が3~9個結合することで出来上がったものが少糖類です。
教本によっては二糖類も少糖類に含ませる場合もありますが、本カリキュラムでは別々に考えることとします。
オリゴ糖
オリゴ糖は消化酵素によって分解されることはなく、ビフィズス菌などの有益菌の栄養源となって働くものもあります。特定保健用食品としてフラクトオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖など様々な種類が登録されています。
ちなみに、オリゴとは「少し」という意味です。
多糖類
こちらは単糖類が10種類以上、複数結合した事によって生み出される糖類です。
デンプン
こちらはブドウ糖が多数結合した事によって出来た植物性の貯蔵多糖類です。主に穀物類やイモ類に多く含まれており、光合成の確認実験にもよく用いられます。
また、デンプンの中にも形状が直鎖状のアミロースと枝分かれしているアミロペクチンの2種類が存在します。どちらも白く粉粒の様で見た目は変わりませんが、アミロペクチンの方は水に溶かして火にかけると粘り気が生まれます。
この作用を利用したものが水溶き片栗粉です。
デキストリン
デンプンを酵素や酸によって加水分解した物をデキストリンと呼びます。こちらの糖類の数は特に決まっておらず、分解時の程度によって分子量が決まります。低分子なものほど水に溶けやすく、消化しやすいです。
グリコーゲン
こちらもブドウ糖が多数結合した物ですが、動物性の貯蔵多糖類で肝臓や筋肉に多く含まれています。
化学式の見た目はアミロペクチンと似ていて枝分かれしています。
その他
これまで紹介したものの他にも植物の細胞壁を作っているセルロースや果物や野菜に多いペクチンなどは食物繊維と呼ばれたり、エビやカニの殻を構成しているキチンなど他にも多くの糖類が存在します。