Lesson2-1 栄養のもたらす影響

Lesson1では栄養学の役割や健康・栄養の定義について学びました。

このLessonでは、栄養が私たちにどのような影響を与えているのかについて学んでいき、その重要性を改めて学んでいきましょう。

寿命との関連

日本人の平均寿命は世界でも長寿と有名で、多くの人が約80年生きているようになりました。現在でこそここまで長寿になりましたが、少し過去をさかのぼると一気に下がります。平均寿命が50歳を超えたのも昭和22年の記録からです。

戦争などで若い世代が亡くなっていった時代背景もあるでしょうが、その後の食生活や医療の改善によってここまで記録を伸ばしてきました。この進歩によって乳幼児の死亡結核、肺炎などの感染症疾患による死亡が激減したことが大きな要因だと考えられています。

科学的には様々な研究がされていますが、栄養が寿命と関連があることは明らかです。

 

疾病との関連

死亡率が減った病気がある中、他の病気が問題視されるようになりました。

それがガン(悪性新生物)、心疾患脳血管疾患です。

これらの病気は昭和33年ごろから死因の病気として多くの命を奪ってきました。中でも心疾患や脳血管疾患などの循環器系に起こる疾患は約30%を超える死亡率を有しているのです。

なぜこれらが死因としてもっとも多く見られるのか、その原因に栄養が絡んできます。

診断

循環器系の疾患が起こる主要な危険因子(リスクファクター)は高血圧糖尿病動脈硬化などが挙げられ、いわゆる生活習慣病として有名な病気から発展するのです。なぜこのような事例を多く見るようになったかは、生活環境が大きく変化していったことが原因です。

日本国内だけでなく外国の食文化を取り入れて行った結果、日本人が昔から悩まされていた脳卒中は減塩食や動物性食品の摂取によってどんどん改善されていきました。

しかしその反面、急激に取るようになった動物性食品に体が対応できず、有り余ったエネルギーが体内に残って肥満糖尿病動脈硬化脂質異常症など、多くの病気を発症させてしまったのです。

脳卒中の改善には繋がったものの、今度は高血圧によって循環器系疾患の患者が増えてしまう結果となってしまいました。そして高齢化した現在の日本ではこれらの病気を患って死亡していくお年寄りの方が多く、さらに死亡率を上げて行きます。

ですが糖尿病や高血圧、肥満などは一晩のうちに発症する病気ではなく、日々の生活で送って来た不健康が蓄積していって発症する慢性疾患なのです。慢性的に体について回るこの症状はすぐに治すことが出来ません。

この慢性疾患に対抗するには、一般に対処を行う医療以上に、食生活を含めた生活環境の改善が効果的と考えられています。