生活習慣病
様々な事例がある生活習慣病ですが、厚生省の提示する定義としては「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」となっています。
これを機に、平成8年の12月から今まで成人病と呼んでいた病気も生活習慣病と呼び替えるようになりました。
なお成人病について説明すると、昭和32年頃から40~60歳の壮年者に見られる慢性疾患の事を呼んでいました。どちらも病状は同じですが、成人病の場合は加齢による体機能の低下が引き起こし、生活習慣病は不健康な生活を送る事によって引き起こされます。
生活習慣病が増えた背景
生活習慣病が増えてきているのには、その社会的な背景が関連していると考えられています。
第二次世界大戦の最中、日本では全国的に食糧不足が発生して極度の栄養失調にみまわれていました。しかし戦争後の食生活は急激に変化し、飢餓によって死亡する割合が急速に減ってきました。
その過程を年代別、栄養状態に例えて振り分けられます。
栄養失調で苦しんでいた昭和30年までを低栄養期、戦争が終わって徐々に生活が変わって来た昭和30年代を安定期、動物性食品を取り入れた食生活が急激に繁栄して来た昭和40年代前半を過剰栄養期、成人病が蔓延して行った昭和40年代後半以降を栄養の混乱期だと称されています。
食糧不足の問題が解消されたのは良かったのですが、高度経済成長による生活環境の変化が大きな影響を与え過ぎました。外国から多くの物資や食文化が入ってくることで、日本の食生活が様変わりしてしまったのです。
この事実は国が栄えている証拠でもあるのですが、この進化に対応できなかった結果が肥満や糖尿病などの疾病へと繋がってしまいました。
さらに、これは食生活だけの問題だけではなく、自動車や電車などの交通事情の改善、労働条件の見直しなど、運動量の低下も生活習慣病の原因になっています。他にも人によっては昼夜逆転の生活スタイルの変化や外国での勤務など、精神的なストレスを感じる場面が増え、これらの要素も生活習慣病に絡んできます。
ストレスの解消法として運動をしている人はまだしも、食事で発散する人は特に注意しなければならない時代です。
外国との貿易やインスタント食品の進化などで、いつでも、どこでも、好きな物を好きな量食べられるようになった現代では、ストレスによって過食、偏食、欠食など食に関するトラブルも増えて来ました。このように過剰者と不足者が同一の時代に存在している現代は、混乱に見舞われています。
生活習慣病が発症する前の不調は、慢性的な症状だからと高をくくって治療を怠っていると、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中、がんなど、死に直結しかねない病気が発症するかもしれません。
これらの予防には、バランスのとれた栄養だけではなく、上で挙げたようなストレスを避ける、適度な運動などの食以外の要素も大切になります。
これから学ぶ各栄養の働きも理解した上で、今一度自分の生活を見直してみましょう。