Lesson1-3 栄養とは? 生活との関連

栄養について考える際には、実際の生活や文化を考慮に入れる必要があります。

仮にある人にとって特定の栄養価を多く含む食材(例:豚)とった方がよいと考えられた場合でも、宗教的な禁忌食材であれば、当然それを食べさせることは健康の概念に反するものになるでしょう。

栄養学は机上の空論になることなく、実際の人々の生活に寄与するよう生活との関わりを考慮する必要があります。

栄養と生活のかかわり

野菜売り場

人々は肉や魚、野菜などの食べ物を様々な方法で入手してきました。そしてそれらを食すことで現代まで繁栄して来たのですが、どのような食生活をおくっていたかは国によって変わってきます。

土地の気候や環境、民族間の決まり事や宗教など、多くの要素が関わってその土地特有の食生活が形成されていきます。これらの要素を簡潔に振り分けた物が次の4つになります。

  • 身体面(健康、食欲、味覚)
  • 食生活面(食習慣、食行動、食生活の意識)
  • 食料の生産面(食料の生産、流通、経済、製造)
  • 調理面(家庭の料理、給食、レストラン料理、外食産業による調理済み食品)

この4つの要素が土地ごとに様々な組み合わせを生み出し、その土地特有の料理や特産品などが生まれて来ました。小さな島国の日本でも土地によっては寒暖の差が激しく、山や海で暮らす人々の生活スタイルも変化が生まれます。

より詳しく分けると『身体面』と『食料の生産面』は自然科学の研究対象で、『食生活面』と『調理面』は生活と密着していることから社会科学の分野で研究されています。

本カリキュラムでは主に栄養の身体に与える影響を学んでいきますが、このような生活との関わりが栄養にとって大切であることを忘れないようにしましょう。

 

栄養学の使命・まとめ

このように、栄養学は生化学医学生理学など多くの分野の科学的知識を基礎にして、実際の食生活に結び付けることが目的となっています。さらにこれらの知識は日々新しく更新されていくので、より多くの知識を覚える必要があって近年の栄養学のプロに求められるレベルは高くなってきています。

しかし、その困難の先には人々の命を救い、健康を与えて笑顔を増やしていくことが出来る素晴らしい学問なのです。

人々がこの世に生まれてから生を全うするまで、長い年月がかかります。それこそ長生きの人は1世紀以上生きながらえるでしょう。

その長い年月の間、ずっと自分の体と共に暮らして行かなければなりません。もし体に異常をきたして『健康』とは言えない体を手にすると、生活するのを苦痛に感じるでしょう。

その苦痛を少しでも和らげ、より元気に、より健康な体にしてあげることが出来るのは栄養学です。

ジョギング

どのような土地で暮らしているのか、相手の体の年齢はどの位か、どの食材をどれだけ食べさせたら良いのか、多くの疑問を一つ一つ紐解いて健康な体を提供しましょう。そうすることでより長く、より楽しい人生を送れる可能性が広がってきます。

最初の健康の定義を思い出し、誰にとってどのような健康を達成しようとしているのか、よく考えながら栄養学を学んでいってください。

 

Lesson1確認問題

Lesson1の練習問題に取り組んでみましょう!
知識を確認することで、より定着度が高まります。