ここまでの学習で、どのような食材をどれだけ食べ、どのような働きをして体に恩恵を与えるか、どのように摂取すればよいか学んできました。これで大まかな栄養学については理解できたはずなので、次は食事に対する考え方、マナーなどについて学んでいきましょう。
これも、最初の栄養学の役割を学んだところででてきたように、食にまつわる文化・マナーは健康的な生活を送るにあたって大切なことです。
なぜなら、正しいマナーを身につけることは精神的・社会的に健康な状態を達成するのに役立つからです。マナーも食・栄養のうちと捉えて、しっかり学んでいきましょう。
食育とは
『食育』という言葉自体は石塚左玄という方が化学的食養長寿論・通俗食物養成法で『体育智育才育は即ち食育なり』と発言したことから広まり、現代では一般化してきました。
つまり食育とは、体を鍛えること、知識を増やすこと、才能を開花させること、全てにおいて食事の教育から発展していくという考え方です。
現代では食事に関する教育として受け止められていて、多くの方向性を持っています。たとえば食材の生産方法やそれらの効率良い摂取方法、食品の選び方だけにとどまらず、食器の選定や食文化についての教育なども含まれています。
食養生
食養生とは、どの食材をどのようにして食すれば良いのか、健康維持のためにはどうすれば最適なのか、多くの先人たちの経験や研究を基に作り上げられた英知です。現代では短く『食養』と名付けられ、食事と健康増進を図る生活、養生の大切さについて説かれています。
この考えは東洋医学において一般的だったため、中核として広まっていましたが、明治以降の日本は西洋化が進むことで食生活も変わり、衰退していきました。ですが食生活の変化などで生活習慣病が増え、見直し、改善が図られています。
食養の考え方の中には、「一物全食」という考え方があります。これは食べ物を丸ごとそのまま食べた方が体に良いという考え方です。
たとえば米の場合は精米せずに玄米のまま、魚なら頭からしっぽまで、野菜は葉や皮、根っこなども一緒に食べるといった風に、出来るだけ丸ごと食べることが望まれています。
これはなにもゴミを減らすエコな考えやもったいないという少々ケチな考え方から来ているわけではなく、普段捨ててしまっている部分の方が栄養分を多く含んでいることが多いので、この考え方が推奨されています。
もしこの考えを食事に取り入れた場合、より効率良く栄養を摂ることができ、豊富に含まれる食物繊維によって満腹感を味わい食事の量を制限できます。もし生活習慣病や肥満に悩まされている方は、可能な限り皮付きのまま野菜を食べたり、玄米を含んだご飯を食べるなど、様々な方法で試してみる価値はあります。
医食同源
医食同源とは読んで字のごとく、医療と食事は同じ源から成り立っているという考え方です。
病気になった際は医薬に頼って体を整えていますが、普段はその行為を食事によって行っています。つまり医薬も食事も根本は同じでどちらも体を整えて病気を防いでくれる行為なのです。
この事から食事は病気に対する第一の予防として考えられ、もし体調が崩れた際には食生活を見直すことから始めましょう。