たんぱく質は多くの働きを持っており、このページではその代表的な物をいくつか紹介していきます。
生体の維持と成長
たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などを形成する重要な成分ですが、その量は形として現れている体固形分の約56%も占めています。骨や歯などの主成分は違いますが、コラーゲンというたんぱく質が約14%含むことで骨に丈夫な弾力性を与えてくれます。
人間の体にはどうしてもたんぱく質が必要なのですが、時間が進むごとに少しずつ消耗していきます。その上年齢が上がれば上がるほどそのスピードが進み、『成長』から『老化』へと変化します。
この消耗していくたんぱく質の代わりに新しいたんぱく質を補給する必要があります。また、発育期や妊娠時の時には成長の為に、授乳期には母乳を作り出すために、手術やケガをした時に失った細胞を修復するために、それだけ多くのたんぱく質が必要になります。
酵素・ホルモン・抗体
ホルモンにはペプチドも含まれていますが、これら3つは全てたんぱく質で形成されています。
酵素は細胞内で生成され、化学反応を起こすための触媒として扱われます。一言で酵素といっても1つの細胞内に約1000種類もの酵素が存在し、それぞれが特定の物質に反応します。
ホルモンの場合は内分泌腺で生成され、血の流れに乗って目的の細胞へと向かい結合して代謝を調整します。ちなみに、このホルモンの情報を受け止める受容体もたんぱく質です。
抗体の正体は糖たんぱく質で、その本体名はγーグロブリンと呼ばれる物です。主な働きとしては体外から侵入してきた異種たんぱく質を不活性にして、生体に悪影響を及ぼさないようにします。
貯蔵・輸送
前に説明したようにたんぱく質自体は貯蔵が出来ないのですが、他の成分を貯蔵・運搬する機能を持っています。たとえばフェリチンは鉄を貯蔵するたんぱく質ですし、ヘモグロビンは酸素と結合して各組織へと酸素を運びます。
体液の調整
たんぱく質は浸透圧、酸・塩基、電解質などを用いることによって体液を調整することが出来ます。
浸透圧の場合、たんぱく質内の「極性基によって水を引き付ける作用」を利用します。動脈側では圧力を強めて血管組織の隙間から細胞へと水を送り出し、静脈側では圧力を弱めて使い古した水分を血管内へと引き込みます。
体内で行われる物質の変化には、体液に一定の水素イオン濃度(pH)が必要になります。ですが体液中では絶えず代謝が行われるので、その都度水素イオン濃度が変動するのです。そのため、調節役としてたんぱく質がその1つに数えられます。
体とは細胞の集合体とも考えられますが、体内ではそれぞれ過ごし易い環境で活動を行っています。例えば細胞外液ではナトリウム濃度が高く、細胞内液ではカリウム濃度が高いです。それぞれの特性を守りつつ体の状態を維持する為に、たんぱく質は電解質の違う内外のパイプ役として運搬を行います。
エネルギー源
基本的にたんぱく質は上記の仕事を行いますが、通常エネルギーになる糖質や脂質の摂取が減ると体組織のたんぱく質を分解してエネルギーへと変換します。炭水化物などを常食していればあまり見られない働きなので、特殊な働きであると理解しましょう。
Lesson6確認問題
Lesson6の練習問題に取り組んでみましょう!
知識を確認することで、より定着度が高まります。