Lesson14-1 食事のマナー 和食 その1

前のページで『嫌い箸』について学びましたが、それだけを守っていればよい食事が行えるわけではありません。食事には最低限守るべきマナーがあり、それを順守することで自分の事はもちろん、一緒に食事する相手にも心地よい食事の時間を与えることができます。

食事の姿勢

食事をとる際、和食洋食問わず背筋を伸ばして食事をするようにしましょう。

体をまっすぐ伸ばすことで見た目が美しくなりますし、消化管がまっすぐしていれば消化も効率よく行えます。もし猫背だったり背もたれに体重をかけた状態で食事をしていると、見た目はだらしなく、食べた物がスムーズに消化管を通らないので消化がしづらくなってしまいます。

それと体の大きさや腕の長さで多少のずれはありますが、基本的にテーブルから拳2つ分ほどの隙間が食べ易い距離とされています。近すぎると腕が十分に使えませんし、遠すぎると食べ物をこぼしてしまうかもしれませんので、この距離を基本に微調整しましょう。

和食

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献立の基本は主食・主菜・副菜と教えましたが、和食はこれに汁物などを付け加えて一汁三菜(いちじゅうさんさい)が基本の形になります。

一汁三菜はご飯汁物香の物(お漬物)3種類のおかず(菜)で構成する献立です。豪華な食事になると二汁五菜、三汁七菜と増えていきます。また、3種類のおかずは焼き物(魚がほとんど)、煮物、刺身の組み合わせがよく見られます。

お椀の持ち方

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和食のお皿として最もポピュラーな物の1つに挙げられるのが『お椀』です。

ご飯と汁物を受け入れるこの食器は底が深くなっており、熱い皿底を触らない様に糸底(いとぞこ)という突起部分があります。正しい持ち方はどちらも同じで、親指をお椀のへりにかけ、残りの4本を糸底に持って行って支えます

これ以外の持ち方だと熱を直に感じたり手を滑らしたりして中身をこぼしてしまう可能性があるので、正しい持ち方を心掛けましょう。

また、外食の際に汁物のお椀にはふたが付いている場合が多く、勢いよく引っぱって中身をこぼしてしまった、などという経験も少なくはないでしょう。

汁物の温度が下がるとふたとお椀の隙間の温度も下がり、空気の密度が小さくなります。すると外の気圧の差で密閉した状態になってしまい、蓋を開けるのがこんなになってしまうのです。

これを解決する為には片手でお椀のふちを押さえ、もう片方の手でふたのつまみを持ちます。そしてお椀を固定した状態でふたをソッと「の」の字を書くように回し、空気を入れるようにします。そうすることで外との気圧差はなくなり、簡単にふたが開けられるようになります。

なお開けたふたは裏返し、お椀の右側に置いておきます。煮物などを口に運ぶとき、汁がこぼれてしまう可能性がある場合の受け皿としても活用できるので、雑に扱わないようにしましょう。